診療情報 
入院診療について
糖尿病教育入院が中心となります。
新規の糖尿病や血糖コントロールが悪化、また、糖尿病合併症が進行した場合など「糖尿病教育入院」を行います。入院期間は大体2週間以内です。糖尿病治療の根本は食事、運動治療です。適切なカロリーとバランス食の備えた糖尿病食を食べて頂き、食事の量やバランス食の内容を実感して頂きます。また、当院の運動療法の施設において理学療法士の指導の下に、運動療法を行います。これらを体験している間に経口糖尿病薬やインスリンによる治療を行います。多くは、1-2週間で良好な血糖コントロールを得る事が出来ます。経口糖尿病薬で血糖コントロールが十分得られない場合、インスリン注射を行いますが、多くの場合、頻回に(一日、3-4回)インスリン注射を行う事が必要です。高齢者などでは退院後にも、この様な頻回のインスリン注射を行う事が困難です。最近、登場した持効型GLP-1作動薬は一週間に一度注射を打てば良く、低血糖もなく、注射手技も極めて簡単です。この持効型GLP-1作動薬と(基礎インスリンを補充する)持効型溶解インスリン(最近では、超速効効型インスリンを含んだ持続型溶解型インスリン)の両者の注射を組み合わす事により、ほぼ一日一回注射で、低血糖もほとんど無く、しかも良好な血糖コントロールを得る事が出来ます。一日3-4回注射するインスリン強化療法と共に、一日一回注射の、高齢者にも簡便で行える治療法として使用しています。
糖尿病教室
(2週間を1クールとして、(月~金曜の毎日)毎日」開催しています。火曜、木曜は昼食と共に行われています。糖尿病食といえば味気ない食事だと思われる人も多いかと思います。しかし、決して、味気ない食事でなく、大変おいしく頂けます。このバランス食の内容を実際に理解して頂く為に、昼食の献立を説明し、昼食を一緒に頂きます。食事を摂りながら、患者さんの質問に答える形で行われています。昼食後、食事療法の原則と役割、食品交換表の使い方などを解説しています。家庭にこのバランス食を取り入れますと、患者さんだけではなく、家族もより健康な生活を営む事が出来る事になります。
また、午後2時から3時までの時間においては、医師、看護師、薬剤師、理学療法士により、糖尿病はどの様な病気か、運動療法はどのように行えば良いか、またその実際、糖尿病の治療方法、糖尿病の合併症、日常生活の注意、低血糖、シックデイ対策などをお話します。糖尿病の療養生活を送る上で必要な知識を学んで頂き、日常生活に役立てて頂く事を目的とします。
糖尿病外来における診療
月曜から金曜まで毎日、2診体制で、糖尿病外来の診療を行っています。外来診療は良好な血糖コントロールを維持し、糖尿病合併症を予防し、糖尿病を持たない人と同様の健康な生活を営んで頂く事を目的としています。外来診療の流れは看護師が体重、血圧を測定し、日常生活の変化などを聞き取り、採血を行い、血糖、HbA1c、脂質などの測定をします。血糖コントロール状況や動脈硬化の促進する脂質が上昇していないかどうかを見ます。血糖コントロールが悪化した場合は栄養士が栄養指導を行い、食生活の問題点などを指導し、それでも改善しない場合、入院して頂くか、外来においてインスリンの治療(導入)などを行います。
フットケア(看護師)
糖尿病性末梢神経障害は足(裏)から始まります。(神経障害により)感覚がにぶくなっていますと、皮膚の肥厚や水虫やタコ、鶏の目などの病変に亀裂が生じても 気づかない場合があります。そのまま放置しますと潰瘍、壊疽へと進展し、最悪の場合は足切断を余儀なくされます。このような事が起こらないようにするため、日頃から足病変が無いかどうかを見ておく必要があります。糖尿病外来の受診時に看護師が足に病変がないかどうかを調べ、皮膚肥厚、胼胝、鶏の目、爪や足に水虫などの病変がある場合は早期に治療(フットとケア)をし、早期に足病変の治療を行っています。このフットケアは外来診療時、毎日行われています。
糖尿病透析予防(医師、栄養士、看護師)
糖尿病は腎臓も障害します。血液透析の原因疾患の第一位は糖尿病です。
血液透析は 4-6時間程度透析の時間を必要とし、しかも、一日置きに施行しなければなりません。患者さんも大変ですが、莫大な医療費もかかります。
しかし、糖尿病による透析は予防出来るが病気でもありです。予防する上で重要な点は、糖尿病性腎症はある病期を過ぎますと、腎機能は直線的に低下し、血液透析を免れる事は出来なくなる事です。その前に介入し、血液透析を防ぐ事が重要です。
2012厚生省から糖尿病透析予防の制度が創設され、当センターでも2015年からこの制度を活用し、医師、栄養士、看護師のチーム医療で、透析予防を行っています。私達の検討でも早期の段階であるほど有効で、また、ある程度進行した腎症であっても、進行を遅らせる事が出来ます。当センターでは約100名近い患者さんにこの制度を使用し、予防活動を行っています。