診療情報 
体外衝撃波結石破砕術(ESWL)のご案内
腎臓から尿管・膀胱・尿道に至る尿路にできる結石を尿路結石と言います。
結石は腎臓で形成され、移動すると尿管へ入り込みます。
尿管を膀胱へ向かって動くときに強い痛みが起こります。
腎結石・膀胱結石は痛まない事もありますが、尿管結石はたいへん強い痛みがあります。
■尿路結石症の生涯罹患率(一生の間に一度は尿路結石症に罹患する率)
男性:15.1% (7人に1人)/女性:6.8% (15人に1人)
■性差
男性:女性=2.4:1
■年齢別罹患率
20歳以降に急激に増加
男性:30~60歳代、女性:50~60歳代にピーク
■自然に結石が体外に出るのは
症候性腎結石の約70%%
尿管結石の約60%
長径8mm以下の結石は自然排石する可能性が高い
■5年再発率(5年以内にまた結石ができる率)
40~50%
痛みの強いときは鎮痛の座薬などで痛みを軽くします。尿管のなかで結石が動かなくなると痛みも止まります。小さい結石は自然に体から排出することを期待して、水分をとったり積極的な運動をしたりします。結石が動き出すとまた痛みが出ます。
腎臓の働きがなくなると痛みも出なくなりますので、痛みがなくなったから治ったと自分で判断しないように気をつけましょう。逆に痛みがあるうちは、腎臓は働いていますので早めの受診をこころがけましょう。
自然に排石されない結石や、腎臓の働きが悪くなってきたときは積極的な治療が必要になります。治療対象となる結石の大きさ、部位にもよりますが、一般的に行われる治療は体外衝撃波結石破砕術(ESWL)で、体外(衝撃波発生部)で発生させた衝撃波を体内の結石に収束・照射し、自然に出る大きさ(およそ4mm以下)まで砕きます。
当院ではドイツ ドルニエ製 DeltaⅡを使用し、結石破砕を行っています。
砂上に破砕された結石は尿と共に自然に体外へ排出されます。
排出までの時間は患者さんによって異なりますが、多くは数日か1~2週間程度です。
副作用や後遺症もほとんどなく、現在では尿路結石の95%がこの方法により治療されています。
治療当日(治療前)は基本的に絶飲食としていただき、治療の痛みを軽減させるため治療前に座薬、鎮痛剤を使用することがあります。
なお、この治療法は結石を消滅させるのではなく、細かく砕く治療ですので、治療後は積極的な水分摂取を行い排石を促進させる運動等が必要です。
体外衝撃波結石破砕術で複数回治療しても破砕できない結石は内視鏡手術、他の治療が必要になることもあります。
尿路結石症は再発の多い病気ですので結石を破砕するだけでなく、再発の予防法も考えた治療が必要です。